俳句の五・七・五は、書いた文字ではなく音で数えます。「っ」「ゃ」「ー」で迷ったら、読みをかなに直して区切ってみましょう。秋の空を題材に、音数の数え方と一句を整える手順を紹介します。初めて作る方も、短い練習例で確かめられます。
この記事で分かること
- 漢字・小さな文字・伸ばす音の数え方
- 秋の季語を確かめ、五・七・五へ整える手順
- 音が余るときや、意味が不自然になるときの直し方
俳句の音数は、見た目の文字数と違う
たとえば「秋の空」は、漢字を含めて書くと三文字です。読みを「あきのそら」に直すと、あ・き・の・そ・らの五音になります。漢字一文字を一音と数えると、ここでずれてしまいます。
京都市図書館の資料「たのしい俳句」(PDF内)でも、五・七・五は文字の数ではなく音の数だと説明されています。まずは読みを決め、その音の並びを数えるのが基本です。
今回は「季語のある定型」を練習する
NHKグループモールの俳句入門では、最初の五音を上五、真ん中の七音を中七、最後の五音を下五と呼んでいます。字余りや字足らず、自由律の句も紹介されており、五・七・五だけが俳句のすべてではありません。
この記事では初めの一歩として、季語を入れ、五・七・五に整える練習に絞ります。音数を確認する作業と、作品の良し悪しを判断することは別です。十七音になれば完成度まで保証される、という意味ではありません。
「っ」は一音、「ゃ・ゅ・ょ」は前の字と一組
小さな文字を、すべて同じ数え方にしないことがポイントです。京都市図書館の上記資料では、小さな「ゃ・ゅ・ょ」は前の文字と合わせて一音、小さな「っ」と長音符はそれぞれ一音とされています。次の語で違いを比べてみましょう。
| 確かめる点 | 言葉と音の区切り | 音数 |
|---|---|---|
| 漢字は読みに直す | 秋空:あ・き・ぞ・ら | 4音 |
| 「ん」も一音 | 本:ほ・ん | 2音 |
| 小さな「っ」 | 切符:き・っ・ぷ | 3音 |
| 小さな「ゃ」 | 電車:で・ん・しゃ | 3音 |
| 伸ばす「ー」 | ページ:ペ・ー・ジ | 3音 |
「電車」の「しゃ」を「し・や」と二つに分けると、一音多くなります。反対に「切符」の「っ」を省いてしまうと、一音少なくなります。小さいから数えない、とは覚えないようにしましょう。
伸ばす音は、かなで書いてあっても数える
「今日」を「きょう」と読むときは、きょ・うの二音です。「きょ」を一組にした後も、「う」は残ります。「ー」の形で書かれているかどうかだけを見ず、選んだ言葉の読み全体を確かめてください。
確認するときは、一音ずつ指を折るように、同じ間隔で数えてみます。速く読むと「っ」や伸ばす部分を落としやすいので、最初は書いた区切りを目で追いながら。普段の会話の勢いに、数え方まで引っ張られないための練習です。
秋の季語を一つ選び、書きたい場面を決める
音を数えられるようになったら、何を句に残したいか考えます。今回は五音の「秋の空」を使います。「季語と歳時記」の「秋の空」の項目では、秋全体にわたる三秋の季語として掲載されています。
季語は、字数を埋めるためだけに足す言葉ではありません。言葉が表す季節や情景を確かめ、これから書く場面と合わせてみます。自分で別の語を選ぶ場合も、響きの良さだけで決めず、歳時記の読みと解説を先に確認しましょう。
日本伝統俳句協会の入門講座では、複数の季題を入れた名句もある一方、初心のうちは季重なりを避けることを勧めています。今回は、季節の中心を「秋の空」一つに置いて進めます。
用意するものは、手元の紙と筆記具、または使い慣れたメモ機能で十分です。特別な道具をそろえるより、見たものや小さな動作を一つ書き留めてみてください。まだ五・七・五にしなくても構いません。

掲載画像は、秋の公園で言葉を考える時間を描いたAI生成イラストです。実在の場所への訪問記録や、練習句を実際に書いた証拠ではありません。
八音の中七を、意味を残して七音へ直してみる
ここからは本稿で作成した練習例です。「公園で本を読み、使い終わった切符をしおり代わりにして本を閉じる」という架空の場面を考えます。実体験の紹介や、専門家による添削例ではありません。
まずは、言いたいことをそのまま並べる
最初の形を「秋の空 切符をしおりに 本閉じる」としてみます。場面は伝わりそうですが、音を数えると次のようになります。
- 秋の空:あ・き・の・そ・ら=5音
- 切符をしおりに:き・っ・ぷ・を・し・お・り・に=8音
- 本閉じる:ほ・ん・と・じ・る=5音
真ん中が一音多いので、今回の練習では八音の部分だけを見直します。最初から句全体を作り直さず、どこが余ったかを見つけると、残したい場面を保ちやすくなります。
説明を動作に言い換える
「しおりにする」という説明を、「はさむ」という動作へ置き換えてみましょう。前後につながる形にして、「切符をはさみ」とすると、き・っ・ぷ・を・は・さ・みの七音になります。
練習句:秋の空 切符をはさみ 本閉じる
五・七・五に整えた後は、意味も読み直します。この例で残したかったのは、「切符を本にはさんで閉じる」という動作です。「切符」という小さな物と「本閉じる」という動きが残っているかを確かめます。
数字だけを合わせようとして、「しおりに」の「に」を削るような直し方をすると、前後のつながりが不自然になることがあります。一文字を消すより、言い方を選び直すと考えてみてください。
推敲の前後を残しておく
元の言葉と直した言葉を二行で保存し、変えた理由を「一音減らし、動作で表した」と短く添えます。後で見返すと、自分が何を残し、何を省いたか分かります。正解を一つ覚えるためではなく、選び方を振り返るメモです。
音数が合わないときは、三つの順で見直す
数えるたびに結果が違うときも、難しい言葉を足す前に戻れる場所があります。読み、区切り、意味の順に確認してみましょう。
同じ言葉なのに、数が変わってしまう
漢字の読みを途中で変えたり、「ゃ」と「っ」を同じように扱ったりしている可能性があります。まず全文をかなで書き、一音ごとの区切りを入れます。「今日」なら、今回選んだ読みが「きょう」なのかを固定してから数えてください。
合計十七音なのに、五・七・五にならない
合計だけでは、それぞれのまとまりは分かりません。今回は上五・中七・下五を三行に分けて数えます。単語の途中へ無理に区切りを入れるより、意味のまとまりごとに言い換えてみましょう。日本伝統俳句協会も、初心の頃は音と意味の区切りをそろえて音感に慣れることを勧めています。
数は合うけれど、何をした句か分からない
助詞や動詞を削りすぎたのかもしれません。元の場面のメモへ戻り、残したい物と動作を一つずつ選び直します。誰かに読んでもらえるなら、「どんな場面が浮かんだ?」と尋ねる方法もあります。狙った場面と違って伝わったところが、次に見直す手掛かりになります。
今日見つけた一場面を、まず一行に
最初の目標は、名句を作ることより、言葉の音と意味を自分で確かめることです。「読みをかなにする」「五・七・五を別々に数える」「直した後に場面が残っているか読む」の三つを、一句で試してみてください。
散歩で言葉の材料を探したい方には、秋の七草の名前と姿を紹介した記事もあります。植物の名前を知ることと、それを季語として使うことは別なので、句に入れるときは歳時記の項目も確認しましょう。
まずは心に留まった一場面を、普通の文で一行残してみませんか。五・七・五へ整えるのは、その言葉を見つけてからで大丈夫です。
資料の確認日は2026年10月4日です。本文の句は音数と推敲を説明するための練習例で、受賞作や投稿済み作品ではありません。



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