昆布とかつお節の合わせだしがおいしく感じられる理由の一つは、異なるうま味成分の相乗効果です。昆布のグルタミン酸とかつお節のイノシン酸が、うま味を強め合います。秋の汁物を作る前に、二種類のだしと、混ぜた一杯を少量ずつ比べてみませんか。準備の方法と、違いが分からない時の見直し方を紹介します。
この記事で分かること
- 合わせだしのうま味と、香りや好みの違い
- 昆布・かつお・合わせたものを同じ量で比べる手順
- 一番だしとの関係と、味の違いに迷った時の確認方法
合わせだしは、何を合わせているの?
合わせだしは、異なるだし素材を組み合わせたものです。ここでは和食でおなじみの昆布とかつお節の組み合わせを扱います。材料を増やすだけでなく、それぞれが持つ成分の関係に目を向けると、だしの取り方を学ぶ理由も見えてきます。
二つのうま味成分が、互いを引き立てる
うま味インフォメーションセンター「だしのお話」では、昆布のグルタミン酸とかつお節のイノシン酸による相乗効果を紹介しています。単独のだしから合わせたものへ変えると、うま味の感じ方が変わる仕組みです。
ここでいう相乗効果は、二杯を一緒にして量が増えた、というだけの話ではありません。そこで今回の飲み比べでは、どのカップも同じ量にそろえます。器にたくさん入っているから濃そう、といった見た目の違いを減らし、口に含んだ時の印象へ目を向けます。
また、昆布にはこの成分しかない、かつお節にはあの成分しかない、という単純な区分でもありません。食材にはさまざまな成分が含まれます。二つの名前は、合わせだしのうま味を理解する代表的な手掛かりとして覚えれば十分です。
うま味が強いことと、好みに合うことは別
日本うま味調味料協会の「うま味」と「おいしさ」の解説では、うま味を基本味の一つ、おいしさを香りや食感、見た目、食事の環境なども含む感覚として区別しています。今回も「香りが好き」と「うま味が強く感じられた」を、できるだけ分けてみます。
例えば、かつおの香りが印象に残る人もいれば、昆布だけの穏やかな味を好む人もいるでしょう。合わせたものを必ず一番好きだと答える必要はありません。料理に何を求めるかを考えるための比較なので、自分が感じた違いを出発点にします。
飲み比べ用のだしは、別々に用意する
今回は最初から同じ鍋に入れず、昆布だしとかつおだしを別に用意します。後で同量ずつ合わせることで、単独の味から何が変わったかを比較しやすくするためです。料理用の万能な配合を決める試験ではありません。
少量の試飲に向く準備例
準備の基になるのは、日本うま味調味料協会の「だしで体験」です。以下は同ページの仕込み量を半分にした例です。昆布は利尻昆布5gと軟水250ml、かつおだしはかつお節10gと湯250mlを使います。
昆布は水とともに清潔な容器へ入れ、冷蔵庫で一晩置きます。かつお節は耐熱容器に入れ、沸かした湯を注いでふたをし、保温して5分置いてから細かい茶こしなどでこします。原資料はそれぞれのだしを試飲時に室温へそろえる方法です。
用意する道具は、仕込み用の容器二つ、茶こし、計量できる道具、同じ形の小さなカップ三つ、口直しの水です。試飲分だけを取り分け、冷たい方と熱い方が混ざらないよう温度をそろえます。残りのだしを、試飲の間ずっと室温で放置する必要はありません。
食塩やしょうゆは、まだ加えない
最初の比較では、塩やしょうゆ、みそを加えません。どちらか一方だけ塩味が付いていると、材料の組み合わせによる違いが分かりにくくなるからです。「だしだけではいつもの汁物の味にならない」と感じても、この段階で味付けを完成させようとしなくて大丈夫です。
市販の顆粒だしやだしパックで試したい場合は、まず原材料を見ます。すでに昆布とかつお節を合わせた製品や、塩などを含む製品では、今回の単独同士の比較と条件が変わります。製品が良くないという意味ではなく、何と何を比べているかをはっきりさせるための確認です。

掲載画像はAI生成のイメージです。実際の調理・試飲結果や、うま味の強さを測定した記録ではありません。器の色や液体の見た目は、味の違いの証拠にはなりません。
三つのカップを、同じ量で飲み比べる
ここからは、原資料の「単独と合わせたものを比べる」という考え方を、三つのカップに分けた家庭向けの練習案です。量・器・温度をそろえ、味付けを加えずに比べることを優先します。
| カップ | 入れるもの | 合計 |
|---|---|---|
| A:昆布 | 昆布だし20ml | 20ml |
| B:かつお | かつおだし20ml | 20ml |
| C:合わせる | 昆布10ml+かつお10ml | 20ml |
AとBをそれぞれ用意したうえで、Cには飲む前のだしを別に取り分けて混ぜます。AやBを飲み残してCへ移す方法ではないので、混ぜる量が決まり、衛生面でも扱いやすくなります。20mlは少量を比べるための設定例で、料理全般の適量ではありません。
- カップを区別する:置き場所かメモでA・B・Cを対応させ、途中で入れ替えないようにします。
- 香りを先に確かめる:飲む前の印象を一言だけ残します。香りの強さを、そのままうま味の点数にはしません。
- 少量ずつ味わう:A、B、Cを順に少しずつ含み、間に水で口をすすぎます。飲みやすい温度かも確かめます。
- 二つの比較を書く:CとA、CとBで、どこが同じでどこが違うと感じたかを言葉にします。
「おいしい」以外の言葉を一つ足す
記録の想定例なら、「Bは香りが先に分かった。Cは口に含んだ後の味が続くように感じた。Aとの違いはまだ言葉にしにくい」といった書き方です。これは回答例であり、実際の試飲で得られた結果ではありません。同じ感想に合わせようとせず、感じた範囲を書きます。
「好きな順」と「味の特徴」を別の欄にすると、香りの好みとうま味の印象が混ざりにくくなります。例えばCを好ましく感じても、理由が香りなのか、余韻なのか、味全体なのかを一つ考えます。特別な評価用語を覚えるより、普段使う言葉で具体的にすることが目的です。
同量で混ぜても、成分が同量とは限らない
Cを一対一で混ぜるのは、家庭で配合を再現しやすくするためです。液体の体積を同じにしても、グルタミン酸とイノシン酸の濃度まで等しくなるとは限りません。昆布の種類やだしの取り方も関係するため、この一杯から成分量を測ったことにはできません。
今回できるのは、自分が用意しただしで、単独と組み合わせの印象を比べることです。「うま味が何倍になった」と数値化したり、すべての料理の最適比率を決めたりするものではありません。変化が言葉になれば、次に料理へ使う時の手掛かりになります。
違いが分からない時は、どこを見直す?
すぐに違いを言い当てられなくても、失敗と決めなくて構いません。材料を足して濃くする前に、比較の条件がそろっていたかを確かめます。答えを合わせることより、次に変える点を一つ見つけることが大切です。
片方だけ、冷たい・熱い
片方を冷蔵庫から出した直後、もう片方を湯からこした直後に飲むと、温度の差も一緒に比べることになります。試飲分を少量ずつ取り分け、同じような温度にそろえてから、改めて一口ずつ確かめます。温度を変えた場合は、そのこともメモに残します。
香りの印象しか残らない
その場合は、香りについては違いが分かった、と受け止めてよいでしょう。次は飲み込んだ後に何が残るか、味が広がる感じがあるかなど、見る点を一つに絞ります。「うま味」という言葉を無理に当てはめず、「味全体の違いとして感じる」と書いても構いません。
どのカップも、同じように感じる
材料と水の量、抽出の時間、カップへ入れた量を確認します。もともと混合された市販だしを使っていなかったかも振り返ります。条件がそろっていても分からなければ、その日は「差を説明できなかった」と残し、繰り返し飲んで正解を探す必要はありません。
一番だしとの違いを知って、汁物へつなげる
合わせだしと一番だしは、まったく同じ意味の言葉ではありません。うま味インフォメーションセンターは、昆布とかつお節から最初に取る一番だしと、その材料を再び使う二番だしを紹介しています。何を組み合わせるかと、何回目に取るかは別の視点です。
料理では同じ鍋で順に素材を使う取り方もあります。今回、別々に用意したのは味の違いを比較するためで、毎回二つの容器を使わなければならないわけではありません。試飲で感じた香りや味を、次に作る汁物でどう生かしたいか考えてみましょう。
次の一歩は、昆布だしとかつおだしを少量ずつ取り分け、同量を混ぜた一杯と比べることです。味付けをする前のだしを知ると、秋の食卓でいつも口にしている汁物にも、材料の組み合わせという見どころが加わります。



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